乳房にしこりのようなものが触れ、さわると痛む。乳がんではないかと心配になって相談に来られる方は、当院にも多くいらっしゃいます。
乳房の痛みを伴うしこりの多くは、乳腺症などの良性の変化によるものです。しかし、しこりには良性のものも悪性(がん)のものもあり、痛みの有無や触れた感触だけでは判断できません。
症状だけで乳がんか良性の変化かを見分けることは難しいため、超音波やマンモグラフィなどの検査を行い、診断をつけていきます。
乳房の痛みを伴うしこりで考えられる原因
もっとも多い原因は乳腺症です。乳腺に起こる良性の変化の総称で、基本的に治療は必要ありません。乳腺症ががんの原因になることもありません。
月経前になると胸が張って痛んだり、しこりが触れたりして、月経が来ると軽くなる。このような痛みやしこりはホルモンの変動に伴うもので、多くは心配のいらないものです。
ただし、月経周期と関係なく痛みが続く場合は、受診してください。
しこりに気づいた方の多くは、できるだけ早く予約を取りたいと連絡をくださいます。一方で、もう少し早く受診していただきたかった、と感じる例も少なくありません。検査が怖くて受診できないまま乳がんがかなり進行してから来られる方、乳腺炎が悪化して入院が必要になってから来られる方、乳房にできた粉瘤(皮膚の内側にできる袋状のできもの)が感染し、皮膚が破れてから来られる方もいらっしゃいます。
私たちは、病院や検査に対してネガティブなイメージをお持ちの方にも、必ず安心して帰っていただけるよう、丁寧な説明と適切な検査を行っています。気になることがあれば、気軽に相談に来てください。
胸の痛みには、乳房以外に原因があるものもあります。たとえば、肋間神経痛(肋骨に沿って走る神経の痛み)や、骨や筋肉に由来する痛みです。そのほか、内科的な病気が原因となることもあります。当院では、原因に応じて、内科の受診もご案内しています。
更年期前後に増える乳房の張りと痛み
50代前後になってから胸の張りや痛みが出てきた、という方も多くいらっしゃいます。エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が不安定になる時期のため、乳房の状態も変化しやすくなります。一方、40代〜50代は、乳がんに一番なりやすい年代です。
ご自身では判断が難しい時期ですので、気になることがあれば受診してください。
当院は婦人科を併設しており、症状に応じて婦人科・乳腺科の両方の視点から診療を行うことができます。乳がんの心配はなくても、閉経前後の女性ホルモンの波による不調は、婦人科の視点で治療することも可能です。乳腺科と婦人科の両方に通院されている方も多くいらっしゃいます。
乳腺科で受ける検査の流れ
問診・視診・触診から始まる診察の流れ
まず問診で、症状の経過をうかがいます。小さなことでも聞かせてください。次に、目で見て確認する視診と、触れて確認する触診を行います。必要に応じてマンモグラフィや超音波(エコー)検査を行い、その結果によっては細胞や組織を採取し、顕微鏡で調べて診断を確定します。
マンモグラフィと超音波検査の違い
| 検査 | 何を調べるか | 所要時間 | 痛み・被ばく |
|---|---|---|---|
| マンモグラフィ | 乳房を挟んで撮影する検査。超音波では写りにくい微細な石灰化を見つけやすい | 5〜10分 | 圧迫による痛みが出ることがある。被ばく量は1回あたり0.05〜0.15ミリシーベルト(※) |
| 超音波(エコー) | しこりの性状や大きさ、わきの下のリンパ節を調べる | 10〜20分 | 痛みも被ばくもなく、妊娠中でも受けられる |
※ 1年間に自然に受ける放射線量は約2.4ミリシーベルトとされており、マンモグラフィ1回分の被ばく量はそれを大きく下回ります。
当院で行う検査については、マンモグラフィ・乳腺エコー・針生検のページにまとめています。
マンモグラフィ撮影を担当する技師の取り組み
当院のマンモグラフィ撮影は、女性の放射線技師が担当しています。担当する技師は全員がマンモグラフィの認定資格を取得しており、撮影の技術と質を保っています。
技師は、受ける方とのコミュニケーションを大切にしています。初めて受ける方には、撮影の前に、どのような検査なのか、なぜ乳房を圧迫する必要があるのかをご説明しています。痛みが強いときは遠慮なく申し出ていただくよう、最初にお伝えしています。撮影中も声をかけ、様子を確かめながら進めますので、むやみに強く圧迫することはありません。
検査室は、リラックスできる空間づくりをし、空調もこまめに調整して、落ち着いて検査を受けていただける環境を整えています。
診察前は、女性専用の待合室でお待ちいただき、診察室では十分に配慮したうえで診察や検査を進めていきますので、安心してください。
受付から検査が終わるまでの時間は、その日の診察の状況によって大きく変わるため、一概にはお伝えできません。混み合っているときや、診察の内容によっては待ち時間がありますので、時間に余裕をもってお越しください。
細胞診・針生検が必要になる場合
画像で気になる所見があった場合は、細胞や組織を採取して調べます。
細い針を刺して細胞を吸い取る穿刺吸引細胞診は、多くの場合、局所麻酔なしで行います。希望があれば局所麻酔をすることも可能です。準備を含めて5分程度で終わり、重大な合併症はほとんど起こりません。
もう少し太い針で組織を採る針生検では、局所麻酔をして痛みを抑えます。診断の精度は、針生検のほうが高くなります。
よくある質問
Q. 胸のしこりが痛いのですが、乳がんの可能性はありますか?
痛みを伴うしこりの多くは、良性の変化によるものです。ただし、乳がんではないと言い切れるわけではありません。症状が続くようでしたら、一度受診してください。
Q. 痛いしこりが自然に消えることはありますか?
乳腺症のように、月経前に大きくなり、月経後に小さくなるものはあります。ただし、月経周期と関係なく残る痛みやしこりは注意が必要です。気づいた時点で早めに受診してください。
Q. 乳がん検診で異常なしでもしこりが気になる場合は?
受診をおすすめします。検診で「精密検査は不要」や「経過観察」と判定された場合でも、しこりなどの変化に気づいたら早めに受診してください。
Q. 乳腺科は何歳から受診してよいのでしょうか?
年齢の制限はありません。国の乳がん検診の対象は40歳以上ですが、症状があれば何歳でも受診していただけます。当院にも、10代から90代まで幅広い年代の方が通院されています。
まとめ
乳房の痛みを伴うしこりは、その多くが良性の変化によるものです。
まずは、痛みやしこりが月経周期と連動しているかどうかを確かめてみてください。周期と関係のない痛みやしこりがあるときは、早めに受診してください。
調べてみたら心配のないものだった、という結果になる方がほとんどです。一度確かめて、安心していただければと思います。
当院には女性専用の待合室があり、女性の乳腺専門医が複数在籍して、日々の診療を行っています。婦人科・内科も併設しており、総合的な診療が可能です。
当院はJR三ノ宮駅直結の神戸交通センタービル内にありますので、雨に濡れずにお越しいただけます。阪急・阪神・地下鉄の三宮駅からもアクセスは抜群です。ご予約・お問い合わせは078-322-2488まで。WEB予約が便利です。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。